仕えるということ②

つづき・・・

さて、こうして私の運命の一日が始まった。


会場となっている某ホテルからほど近いスタバで待ち合わせとなったが、ちょうど店の前でさきっぺにばったり会った。
「あ!けいたくん。オハヨー、今日はありがと!ヨロシクね」
「先に言っておくけど、今日は何が起きてもビックリしないでね。」
聞きたい事はたくさんあったが、いつものようにハイテンションでまくし立てられて彼女のペースで会話が進む。
「今日は、AちゃんのところのSさんとか、N姐さんのところのKさんとかも来るみたいだよ。」

・注
ここで言う、『〇さんのところの×さん』とは『〇さんのお客さん(ファン)の×さん』という意味である。多くの踊り子はそれぞれの固有の常連客を持っている。『〇×隊』などと呼ばれることが多いが、それなりに組織化されている場合もあればファン同士の横の繋がりが希薄な場合もあり状況は実に多様である。


私も面識のある名前が数人出てきたので何となく安心した。しかし、疑問は膨らむ。一体、私は今日なにをすればよいのだろう?宴会芸などを披露するのだろうか?あまり得意な分野ではない。料理の腕を振るうにも私ごときがそれなりのホテルの料理人に混じって、なにができるというものでもない。
「んと・・・、挨拶回りとかのときは、私の後ろに着いて一緒にお辞儀しててくれれば良いの。マネージャーさんになった気分で。つうか、付き人さんみたいな感じかな?宴会の間はけいたくんは座っててくれれば良いから。しばしご歓談〜ってときは自由に飲み食いしていいからね。」
「あとでパパが来たら、呼ぶからその時は私の近くに居てね。」
だんだん分かってきた。ようは付き人のようなもんだ。なぜ私なのか、という疑問は残るもののとりあえず何をすれば良いのか分かったので、会場へ向かうことにした。

つづく・・・